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転職したくなったら(その4)〜「就活」なる言葉の発生〜

「就活」なる言葉がいつごろからか出来ている。

私の学生時代には無かったと思うし,ここ10年くらい前まで知らなかった。
もちろん,就職活動と言う一般名詞はあったが,大学生などの特定の時期の行動を指して。リクルート社などの勃興とともに発明された言葉だろう。就活競争が激化すればするほど,それを仲介する企業は儲かる仕組みである。

その柳の下のドジョウを狙ってか,「婚活」やら「オワ活」やら,何でも「〜活」をつけて追い立てる。いやはや人生終わる始末まで負い立てられてする始末である。

かつてリクルートスーツは紺色が相場だった。今は黒のようだ。流行の色が変わっただけの様だが,紺色と言ってもそこそこ色のバリエーションがあったが,黒は学生服の様に黒い。女子は化粧の仕方まで揃える様だ。無難無難のオンパレード。選ぶ側はどうやって見分けるのだろうか。例えが悪いが,イワシの群れからどのイワシを穫るか選ぶようなものである。

私が就職した80年代初頭でも就職情報に関する大量の冊子が有力就職紹介企業から送られて来たが,中身を見た記憶が無い。彼らの役割は,もちろん情報提供な訳だが,採用企業と就活学生の双方に如何に幻想を持たせるかで一大産業としたのだ。天才的な起業といわざるを得ない。

モノを作ったり,モノを売ったりするのに比べ,就職仲介はいわば人の売買だ。もちろん人そのもの,人の魂まで売買するわけではないので,そのようには言わない。しかし,そこの線引きはどうやってやるのだろうか?近年問題化したいわゆるブラック企業の実態などを聞くにつけ,それは人間の腕を買うのではなくて,魂までを買い取った積もりの雇用者がいるのではないかと思う。常識的な線引きを越えているのである。しかしそこの線引きが曖昧であれば。企業の競争の中でそういう者が出て来るのも致し方ないのかも知れない。全く企業倫理の問題なのである。

かつての大学(今もそうかもしれないが)の多くは,大学は就職の為の場では無くて学問を目指すところだという矜持があった。しかし,企業側は大学での学問など全く期待せず,人材確保の場だと捉えているフシがある。大学の大衆化も切り離せない。企業での仕事において,大学で学んだ事が直ぐに通用するわけは無いが,否定も出来ないはずだ。壮大なムダという事になってしまう。

私が企業の新人時代,製造現場での実習を受けた。新入りを頭でっかちにしない為の企業側の作戦だ。大学や大学院で電気電子工学を学んで来た者達を前に,「お前らオームの法則さえ分かっていれば十分だ」と言い放った者がいた。ご自分はそうやって仕事をこなして来たのだろうが,それなら中卒者を採れば十分では無いかと当時思ったし,今でもそう思っている。理工系の電気系という専門分野でさえそうなのである。文系は知らないが,推して知るべしではないのだろうか。

中卒者や高卒者の中にも優秀な人はいるはずだが,企業は幹部候補生を大卒者から求める。理系なら院卒が主だろうが,中身は中卒レベルで良い様である。だから後年中学の復習をやっている大学があると聞いてもさして驚きは無かった(つづく)。

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