転職したくなったら,どうしたら良いのだろう?
この問いは,結構切実である。「結構」どころか,一番大事だ。
人生の大きなイベントは何だろう?
卒業,就職,結婚,etc.
学校は卒業しなくても(大概はどこかの学校は卒業しているはずだが),生涯独身であっても,何らかの就職だけはする。純粋に家庭の主婦であっても,全く職に就いた事が無いという人はごく珍しいのではないだろうか。最初に入った職場を定年まで勤め上げる人,職を転々とする人。転々として,キャリアアップを図る人。ぱっとしない人,さまざまである。その軽重に差はあろうが,転職は人生の大きな転機であることは確かだ。
私は二度転職を経験した。現在では非正規雇用が多いから,何度も職場が変わる人も多いだろうが,正社員・常勤職員としてである。もしアルバイトも入れるなら,ずっと多くなる。全くの無職状態で,失業給付での生活も経験した。既に結婚し,子供も居たから,結構しんどかった。
まず,現在正社員の人に言いたい。今の時代,正社員という身分に居るだけでも幸せな事だと。
「転職したい」と思うからには,正社員であり,今の時代に既にその地位を勝ち得たならば,業種にもよるが,安定した大企業なら,まあまあ安泰だろう。嫌な言葉だが,「勝ち組」に相当するはずだ。転職をねらうということは,「勝ち組」から「負け組」に転落するかもしれないのだ。
一般企業が学生に望む事は何だろうか?
私の就職時は,理系ならだいたい最初の企業で一発で受かる時代だったが,私は最初に受けた企業の常務と面接して,「尊敬する人は?」と聞かれ,「バッハ」と答えて,そのまま会話が途切れてしまった。「バッハか~」と,窓の外の遠くを見ていた視線を今も記憶している。当然なのか,その事業所では採用されず,後に本社採用で入り,希望してその事業所に配属されることにはなった。
決して積極的に,ほしい人材ではなかったのだろう。夢を見ず,現実路線で,いやな仕事でも文句言わずにこなす。私は我慢強さはあったが,夢見がちで,特に理不尽な事にはすぐに文句を言う若者だった。そこには10年余り務めたが,それまでも辞めたいと思った事は数知れず。11年目,少し有利な条件で辞められそうだったので,辞めた。
入社11年目ともなると,少しずる賢くなっていて,有利なタイミングを図っていたのだった。受け取った退職金は200万円だった。これは超優遇されての話だ。10年過ぎても自己都合なら60万円あまり。さらに,10年以内なら更に雀の涙の様なだったはずだ。大企業であっても,メーカーなんてそんなものなのだ。もし10年以内で辞めるなら(年数に限らずだが),ボーナスを貰ってからというのが鉄則だ。
「1分1秒もここに居るのがイヤ」と言って辞めた人もいた。景気の良い時代ならば,そこそこ経験を積んだ第二新卒の様な形で,どんどん転職して行った。ただし,私が知るのは技術者の場合だ。私が新人で入った年,同事業所は本社採用の学卒者だけで25名ほどいた。11年目で私が辞めた時は,私入れて残り5人ではなかったかと思う。最後何人残ったのかは知らないが,後年本社の取締役になった者もいるので,全員が辞めたわけではないのだろう。
学部卒・院卒で本社採用の人は,その企業の幹部候補だ。もちろん,高卒・専門卒叩き上げで係長課長に昇任した人も多く知っている。辞めずにそれなりに責任を全うしていれば,社長や取締役とまでは行かなくても,それなりの地位には就けるであろう。しかし,そういう価値観は無いのだと。自分に向いた仕事で再出発したいと思う事もあるだろう。私の場合,会社がヒマで定時退社になった時期,本来禁止されていることだが塾講師のアルバイトをしていた。
振り返ってみれば,後々それは役に立った。
後は,目標を持つことだ。私の場合,当面の目標(夢)は博士を取る事だった。大学院急増の時代ではあったが,博士学位を取れば,研究者などアカデミック系の就職が広がる。しかし,それは民間メーカーの現場部門にいて至難の事であった。デスクのすぐ後ろには製造の機械があり,けたたましい音がしている様な状態。研究をするというのはなかなか大変なことだ。たまたま新規の研究開発に加わることになり,その中の仕事上の課題を研究テーマに強引に持ち込んだ。所詮,研究がすぐに現場の役に立つものではない。他の或る者もそうしていたし,私などはまだ正直者であった。
転職そのものに戻って言えば,仕事は人生に関する一大事だから,金銭は二の次だろうか?
いや,私は,金銭面を最優先した。というか,それしか手が無かった。年齢にもよるだろうが,転職を成功させるには,経済面では周到な計画とタイミングが必要だ。職場が嫌になった時期と,丁度うまくタイミングが合うとは限らない。残る事によるデメリットと,去る事によるメリットを冷静に分析する必要がある。
私の転職が成功だったかどうかは,まだ分からない。今の職場が私の人生で最も長くなったが,現職場でも転職したくなった時期が何度かあった。しかし,止まった。次への道筋がうまく描けなかったからだ。もちろん,経済面の理由も大きい(つづく)。
この問いは,結構切実である。「結構」どころか,一番大事だ。
人生の大きなイベントは何だろう?
卒業,就職,結婚,etc.
学校は卒業しなくても(大概はどこかの学校は卒業しているはずだが),生涯独身であっても,何らかの就職だけはする。純粋に家庭の主婦であっても,全く職に就いた事が無いという人はごく珍しいのではないだろうか。最初に入った職場を定年まで勤め上げる人,職を転々とする人。転々として,キャリアアップを図る人。ぱっとしない人,さまざまである。その軽重に差はあろうが,転職は人生の大きな転機であることは確かだ。
私は二度転職を経験した。現在では非正規雇用が多いから,何度も職場が変わる人も多いだろうが,正社員・常勤職員としてである。もしアルバイトも入れるなら,ずっと多くなる。全くの無職状態で,失業給付での生活も経験した。既に結婚し,子供も居たから,結構しんどかった。
まず,現在正社員の人に言いたい。今の時代,正社員という身分に居るだけでも幸せな事だと。
「転職したい」と思うからには,正社員であり,今の時代に既にその地位を勝ち得たならば,業種にもよるが,安定した大企業なら,まあまあ安泰だろう。嫌な言葉だが,「勝ち組」に相当するはずだ。転職をねらうということは,「勝ち組」から「負け組」に転落するかもしれないのだ。
一般企業が学生に望む事は何だろうか?
私の就職時は,理系ならだいたい最初の企業で一発で受かる時代だったが,私は最初に受けた企業の常務と面接して,「尊敬する人は?」と聞かれ,「バッハ」と答えて,そのまま会話が途切れてしまった。「バッハか~」と,窓の外の遠くを見ていた視線を今も記憶している。当然なのか,その事業所では採用されず,後に本社採用で入り,希望してその事業所に配属されることにはなった。
決して積極的に,ほしい人材ではなかったのだろう。夢を見ず,現実路線で,いやな仕事でも文句言わずにこなす。私は我慢強さはあったが,夢見がちで,特に理不尽な事にはすぐに文句を言う若者だった。そこには10年余り務めたが,それまでも辞めたいと思った事は数知れず。11年目,少し有利な条件で辞められそうだったので,辞めた。
入社11年目ともなると,少しずる賢くなっていて,有利なタイミングを図っていたのだった。受け取った退職金は200万円だった。これは超優遇されての話だ。10年過ぎても自己都合なら60万円あまり。さらに,10年以内なら更に雀の涙の様なだったはずだ。大企業であっても,メーカーなんてそんなものなのだ。もし10年以内で辞めるなら(年数に限らずだが),ボーナスを貰ってからというのが鉄則だ。
「1分1秒もここに居るのがイヤ」と言って辞めた人もいた。景気の良い時代ならば,そこそこ経験を積んだ第二新卒の様な形で,どんどん転職して行った。ただし,私が知るのは技術者の場合だ。私が新人で入った年,同事業所は本社採用の学卒者だけで25名ほどいた。11年目で私が辞めた時は,私入れて残り5人ではなかったかと思う。最後何人残ったのかは知らないが,後年本社の取締役になった者もいるので,全員が辞めたわけではないのだろう。
学部卒・院卒で本社採用の人は,その企業の幹部候補だ。もちろん,高卒・専門卒叩き上げで係長課長に昇任した人も多く知っている。辞めずにそれなりに責任を全うしていれば,社長や取締役とまでは行かなくても,それなりの地位には就けるであろう。しかし,そういう価値観は無いのだと。自分に向いた仕事で再出発したいと思う事もあるだろう。私の場合,会社がヒマで定時退社になった時期,本来禁止されていることだが塾講師のアルバイトをしていた。
振り返ってみれば,後々それは役に立った。
後は,目標を持つことだ。私の場合,当面の目標(夢)は博士を取る事だった。大学院急増の時代ではあったが,博士学位を取れば,研究者などアカデミック系の就職が広がる。しかし,それは民間メーカーの現場部門にいて至難の事であった。デスクのすぐ後ろには製造の機械があり,けたたましい音がしている様な状態。研究をするというのはなかなか大変なことだ。たまたま新規の研究開発に加わることになり,その中の仕事上の課題を研究テーマに強引に持ち込んだ。所詮,研究がすぐに現場の役に立つものではない。他の或る者もそうしていたし,私などはまだ正直者であった。
転職そのものに戻って言えば,仕事は人生に関する一大事だから,金銭は二の次だろうか?
いや,私は,金銭面を最優先した。というか,それしか手が無かった。年齢にもよるだろうが,転職を成功させるには,経済面では周到な計画とタイミングが必要だ。職場が嫌になった時期と,丁度うまくタイミングが合うとは限らない。残る事によるデメリットと,去る事によるメリットを冷静に分析する必要がある。
私の転職が成功だったかどうかは,まだ分からない。今の職場が私の人生で最も長くなったが,現職場でも転職したくなった時期が何度かあった。しかし,止まった。次への道筋がうまく描けなかったからだ。もちろん,経済面の理由も大きい(つづく)。
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