スキップしてメイン コンテンツに移動

職場内技術士として思うこと

独立系の技術士をやっている方は,技術士としての仕事で忙しい日々と思いますが,職場内の技術士は職場の仕事に忙殺されます。

職場内の仕事をしている人間がたまたま技術士と言うだけで,たまにある「技術士としての仕事」はプラスアルファの仕事となってしまうのが辛いところです。
とは言っても身体が幾つもあるわけでなく,それなりの対応しか出来ません。

そんな中,当方が関わったセミナー受講生全員が一次試験に合格しました。大変慶賀なことです。技術士になった方からすれば,それは第一関門であり,すでに忘れた方も多いかも知れませんし,平成14年度までは業務経験年数を満たせば一次試験は免除されていたわけですから,先輩技術士の中には受けていらっしゃらない方も多いのではないかと思います。

当初書いた通り,一次試験義務化はJABEEとの関連です。JABEEコース修了生にインセンティブを与えるために導入されたものですが,一次試験受験が義務となれば,面白いことに,JABEEコース修了生であっても一次試験を受けようという人もいるようです。

例えば,ある企業が技術士受験を奨励する。その中にはJABEEコース修了生も居るとします。修了生だけ一次試験受験を免除させるかです。

もちろん,技術士資格の取得が目的であれば,ムダな事はしないでしょう。しかし「技術士資格の取得を通して勉強をさせる」という目的であれば,JABEEコース修了生に対しても会社は受けさせるかもしれません。

この「勉強のために試験を受ける」という姿勢は本来の技術士の目的には沿わないものです。かつて口頭試験で受験の目的を聞かれて,「自己啓発の為」とか言うと,必ず落とされると言われたものです。

しかし,勉強をさせるためには,目標があることは重要な事だと思います。第一次試験が技術者の最低限の資質を証明する試験だとすれば,なおさらです。当然JABEEコースでは,様々な,一次試験受験よりもむしろ高いハードルを設けています。しかし,企業にもよるでしょうが,教育機関の教育内容を信用していないところがあります。私はある企業の新人時代,工業高校程度のセミナーを受講させられた事があります。企業としては,従業員に勉強をさせて国家資格で成果を見るということをするのではないでしょうか。

業種にもよると思います。建設土木関係ならば,業務独占資格に近く資格を得る事が目的でしょうから,上述のようなムダな事はしないでしょう。
しかし,電気電子の分野で面白い例があります。強電系の有力な資格に電気主任技術者があります。電力関係業務には必携資格です。これは「電験」と略されます。この資格には,一種から三種まで所定の学校を卒業して所定の業務経験を積めば得られる認定制度があります。資格としては何ら区別はありませんが,現場では,試験で得たものを「電験」,認定で得たものは「電認」と言って区別するのだそうです。

こと電気電子の分野では,試験で得たものを重視する気風があるのだと思います。

コメント

このブログの人気の投稿

技術士登録証が届いた

名古屋出張から帰りましたら,技術士登録証が届いていました。3月22日の金曜日には届いていたようです。 思ったより大きいです。B4サイズですので,折り曲げたいところですが,二つ折り禁止で丁寧に届きました。 技術士登録証の実物を見るのは初めてです。 掛ったコスト(登録料3万円と6500円の手数料,あと今までの受験料)が回収できるかどうか分かりません。何分職場内技術士で,業務の合間を縫って企業の技術相談などにのっても全くのタダ。職場から給料は頂いていますが,こんなんでいいのかしら? 私の登録番号は70000台ですので,およそ日本にはこのくらいの方が居るはずです。 約半分が建設・土木関係の技術部門の方です。電気電子部門はざっと10%,電子応用分野はさらにその10%くらいでしょうか。 電気系の資格ならば,「電気主任技術者」が権威と歴史があります。1種,2種,3種とありますが,イチバン下の3種でも,通常の事業所などでは十分,2種ならどんなデカイ工場でもOK。電力会社にでも勤めない限り1種は要りません。 技術士資格もハイレベルなものですが,その隘路は業務独占ではなくて名称独占である事です。技術士でなければ出来ない仕事というのは基本的にはありません。建設系では実質的に業務独占資格となっているため価値は高いようです。 代わりにと言っては何ですが,この3月末で高校の教員免許の期限が切れてしまいました。

JABEE認証の継続は必要か?

JABEE導入の目的の一つに,技術者の地位向上ということが言われました。それは大変結構な事です。今日の日本の繁栄は技術者の努力の上にあったことは間違いありませんし,人以外資源の無い日本が今後食っていくためには,技術者の役割が重要であることは論を待ちません。では,JABEEをやったら,技術者の地位が向上するのでしょうか? ◆ 残念ながら,無理筋のように思います。どこにもその脈絡がありません。JABEE認証制度は,技術者の地位向上よりも,エラい先生方やお役人の退職後の地位向上という本音を,立派な大義名分のオブラートに包んでいるように見えます。 JABEEコースを修了する学生にとって唯一有効なインセンティブに見える技術士第一次試験の免除も,技術士制度をいじって,従来経験者が免除されていたものを義務化して作ったものです。 そして,そのような「人工的な恩恵」でさえも,大学はまだしも高専では専攻科まで進む学生か,名目上はJABEE認定大学に編入学した学生にのみ与えられるものです。「名目上」と言うのは,そのような大学編入生においてすら,「学校毎に認定されたJABEEプログラムが違うから,通算はダメよ」と言われたとの情報。正確な実態はどうなのか怖くて聞けません。JABEEは教育の国際水準の確保では無かったのでしょうか?国際水準が確保されても,国内水準は学校によりバラバラなのでしょうか? デタラメです。それどころか,JABEE委員ご出身のレベルの高い大学では技術士の地位の最も高い建設土木系ですら,JABEEには洟もひっかけないのです。JABEEを言う前に,技術士そのものの地位向上が先決でしょう。それに,みんながみんな技術士を目指す訳ではありません。それを本気で目指す人は一次試験から受ける方がJABEEコースのメンドウな縛りをかいくぐるよりもずっと楽でしょう。 ◆ JABEEの初代会長さんをされた方の前職は放送大学学長,その前は日本一の大学の総長さんでした。皇室関係の有識者会議の座長さんなどもやられました。まあそれは結構なことです。関係なさそうなことです。しかしながら      。 当職場ではJABEE導入により,それまで放送大学受講で取らせていた単位はJABEE上は無効だとされ,自前開講になりました。大学単位を取らせるには教員が足りないから放送

口頭試験を受験

平成18年度の第二次試験筆記試験の合格通知に口頭試験の案内通知がありました。前年度の不合格通知には空白だった箇所に,試験日や場所の案内があります。 12月8日(金),13:30〜14:00,渋谷のフォーラムエイトです。ここのビルには日本技術士会の事務所があり,口頭試験の大半がここで行われる様です。 平日の金曜でしたので,職場に伝え,出張扱いで試験に臨む事が出来ましたが,前泊は出来ず,朝JRで出かけました。後から思えば,試験日がもう少し遅ければJRが雪で遅れたり,飛行機で行くにしてもやはり雪で欠航することもありましたので,当日朝出かけると言うのは危険な事でしたが,まあ,その位の気分だったのでしょう。 当日トラブルがありました。 当時小学生の息子が学校でアタマを打って病院に運ばれたとの事,小学校の教頭から私のケータイにかなり丁重な電話がありました。何で私に来るのだろうと不思議に思いましたが,意識を失ったそうで,病院に運ばれたが,精密検査の結果特に脳には障害は無いようだとの連絡でした。当時妻はケータイを持たず(持っていても出ないですが),家と連絡がつかないので,私の職場に連絡,出張中だと知って,伝え聞いたケータイに掛けたということでした。口頭試験直前でしたので,少し気にはなりましたが,大事には至っていないとのことで,試験中はその事は忘れていました。後で本人から聞いたところでは,「安らかな気分だった」とのことなので,けっこうヤバかったのでしょう。 口頭試験には集中して臨みました。 試験室前の椅子で待っていると,呼び出しがあり,部屋に入りました。事前に面接官は2人と聞いていたのですが,4人いました。実際にメインで質問をするのは大学教授風の方で,技術士風の方がサブで聞くというかんじでした。 質問内容は受験動機から始まって,現在の職場での必要性等でした。「現在の職場ではいらないのではないですか?」といった質問に対しては,確かに明確な答えはしにくかった記憶があります。「技術相談を受けるのに要る」と答えたのですが,「技術士は無くても出来るのではないですか?」という問いには明確な解答が出来ませんでした。 私の業務経歴に関して「薄膜磁気ヘッドは現在使われているのですか?」という問いが,「いかにもモノにならない技術ではないのか?」の様な聞かれ方だった気がして,「